
こんにちは、ヒッチです。
今回は2017年から連載され、2026年に完結、最終巻が販売された『ヴラド・ドラクラ』についての感想と、実在した人物、ヴラド3世とその周辺の軽い解説です♪
ある程度ネタバレしますっっ!!ご了承くださいっっ。
ヴラド・ドラクラ
↑は第1巻♪ ↓は最終第10巻♪
大窪 晶与 作 KADOKAWA/HARTA COMIX
残虐の暴君か、国を護りし英雄か――。
15世紀中期。南にヨーロッパを席巻するオスマン帝国、西に大国ハンガリー。
ふたつの強国に挟まれた小国・ワラキア(現・南ルーマニア)にひとりの若き公が戴冠する。
その名は、ヴラド三世。
国内政治は貴族に支配され、外交は大国の情勢に左右される中、
ヴラドは故国・ワラキアを護るため、その才を発揮していく――。“串刺し公”の異名を取り、ブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』のモデルとなったヴラド三世。
Amazonより引用
その実の姿に迫る、歴史ロマン。
概要
2017年5月から2026年6月までエンターブレイン発行の『ハルタ』で連載されていた歴史漫画。作者の大窪晶与さんはこれが初連載だそうです♪
上記でも触れていますがブラム・ストーカー作『吸血鬼ドラキュラ』のモデルとしてよく言われているワラキア公国(現:ルーマニア)の公(王様ですね♪)ヴラド3世の半生を史実を元に描いた歴史漫画でして、資料を集めるのも大変だったであろう当時のワラキア公国での貴族や文化など、かなり詳しく調べて描かれていると思われます。
さらにヴラド3世は記録が部分も多いので、その点をどう落とし込むかがけっこう大変な作業だったと思われますが、読んでいる限り、何の違和感もなく楽しく読めますので作者の大窪晶与さんの力量は素晴らしいと思います♪
2026年現在、フランスで販売されているんだそうですね♪スゲ~っっ!!
実際のヴラド3世ってだいたいこんな人生

ヴラド3世 (Vlad III)
別名:ヴラド・ツェペシュ(ルーマニア語で串刺し公)
本人は父のあだ名Dracul(ドラクル)の息子というDrăculea(ドラクレア)を気に入ってサインにもドラクレアって書いてたそうな♪
なんか見た目がマンガとだいぶ違うな……とかはナシで♪
※画像はウィキペディアより引用
- 1431年……ヴラド2世の次男として産まれたっぽいんですけど、ハッキリしていないそうなっっ。
- 1442年頃……ヴラド2世はオスマン帝国との関係を保持するため、弟のラドゥ3世とともに人質としてオスマン帝国に。
- 1447年にお父さんヴラド2世と兄のミルチャがワラキア公国内で暗殺される。
- 1448年……オスマン帝国の後押しもあり、ワラキア公国の公に即位。でも2か月で即位陥落、お隣のモルダヴィア公国に亡命、その後ハンガリーに亡命。
- 1456年……2度目のワラキア公即位。
- 1461年……オスマン帝国と戦争。
- 1462年……実弟ラドゥ3世率いるオスマン帝国により国を追われハンガリーへ。そこで約12年間幽閉生活となる。
- 1475年……再び戦火へ。
- 1476年……3度目のワラキア公即位。しかしその後暗殺される。
だいたいこんな感じです♪
1462年のオスマン帝国との戦争での「トゥルゴヴィシュテの夜襲」という戦いでキリスト教国家に名を馳せたと言われていますね♪
マンガ『ヴラド・ドラクラ』はおもに2回目のワラキア公即位以降を描いています♪
当時のワラキア公国とその周辺

地図の南側のオスマン帝国はこの時超イケイケでキリスト教国家に侵攻しまくりの時期。
ワラキア公国との国境になっているドナウ川がオスマンとワラキア公国……というよりキリスト教国家との境目、いわば最前線だったという事です。
でもキリスト教国家側もワラキア公国にガンバってほしい……はずなのに、ハンガリーとワラキアはキリスト教でもカトリックと東方正教会という宗派が分かれていまして、また私利私欲が国々にしっかりあるので、ぜんぜん一枚岩じゃなかったというヒドい状態だったと言えますっっ。
さらにこの頃のワラキア公国は地主貴族(ボヤール=作中ではボイエリ)が幅を利かせていまして、公に就いても地主貴族たちが国の実権を握っていたそうです。
串刺し公

ヴラド3世でよくあげられるのが『串刺し公』という異名。でも串刺しの刑は一般的な極刑としてあったそうです。
ただ、その串刺しをした人数や、その串刺しされた人間の見せしめの仕方がすんごくて、このような異名がついてしまったのが現状のようですね。
一見、あまりに冷酷な印象を植え付けたヴラド3世ですが、そのおかげでワラキア公国内の治安はメッチャ良くなったらしいですよ~♪
また、この『串刺し公』。当時ドイツで発明された活版印刷でかなり誇張したビラが配布された事もあり、キリスト教国家内でも「超怖いじゃんヴラド3世っっ」というイメージが定着しちゃったみたいですねっっ。
実はよく分かっていない実像

これもよく言われていますが
- 実際のヴラド3世がホントに冷酷な人間だったのか?
- それともワラキア公国を守るために冷酷な手段をしていたのか?
など、実像はよく分かっていません。
ただ、現在の解釈としては国を守るために冷酷になったとなっていて、ルーマニアでは英雄として語られています。
またよく言われている謎として……
最初の奥さん

実は名前も素性も記録に残っていないみたいなんですよねえ~っっ。ただ、2番目の奥さんは当時のハンガリー王マティアス・コルヴィヌスの妹、ジャスティナ・シラージと分かっていまして、最初の奥さんも腹違いの妹説が有力とのことです♪
よく書かれている事として、1962年にオスマン軍によるポエナリ城の包囲戦中に投身自殺したというのが定説にはなっているみたい。ただ、これも本当に自殺だったのかちょっと謎っぽいですっっ。
そんな事もあり、最初の奥さんは名前も当然ですが作品によって違い、悲劇の妻としていろんな作品で高いトコから落っこちてますっっ。
死

1476年に3度目の即位をしたヴラド3世ですが、時期としては1476年末から1477年1月の間と推測されていますが、どのような形で暗殺されたのか分かっていません。
よく言われているのが……
- ヴラド3世を恨んでいるワラキアの貴族に暗殺された
- オスマン帝国の兵士に変装したところ、味方が間違えて殺してしまった
- 戦闘が終わり、一人で丘の上で眺めていたところで殺されてしまった
など。でもどれも確証はないようで、ここも作品によってバラバラですね~。
また、埋葬された場所も特定されていないのが現状です。
ヴラド3世に関する本

ドラキュラ伯爵 改版: ルーマニアにおける正しい史伝
ニコラエ・ストイチェスク 著 鈴木四郎/鈴木学 共訳
中央公論新社より出版されたヴラド3世に関する研究本。
ヴラド3世の生涯から当時のワラキアやその周りの国々の情勢まで、たぶんこの本が1番詳しく書いているんじゃないかな~~って思っています。
ドラキュラ伝説: 吸血鬼のふるさとをたずねて
レイモンド・T.マクナリー/ラドゥ・フロレスク 著 矢野浩三郎 訳
こちらは『吸血鬼ドラキュラ』の元ネタをたずねにトランシルバニアに向かう……的な本ではありますが、しっかりヴラド3世の生涯がかなり詳しく書かれています。
またその後の吸血鬼伝説についてもふれられてまして、エリザベート・バートリーや、吸血鬼の民間伝承や小説なども紹介しています♪
ヴラド3世を描いた映画
現在日本で観れる作品はこちら♪
ドラキュラ・イン・ブラッド ~血塗られた運命~
2000年のTV映画です。TV映画なので、いろいろそれなりになっちゃってますが、見応えはありますし、史実に基づこうとはしています♪
残念なのは配信がないようで、DVDレンタルでないと鑑賞できない事ですかねえ~っっ。
現在日本で観れる作品の中では1番のおすすめです♪
ドラキュラZERO
2014年の劇場公開映画。ヴラド3世とオスマン帝国の戦いを描いた歴史アクション。そこに吸血鬼要素を入れた野心作で、かなりいろいろガンバってます♪
ただ、ファンタジーが過ぎて歴史がないがしろになってる気がする~……
ただ、アクションはかなりカッコいいです!!
ブラック・ウォリアーズ オスマン帝国騎兵隊
こちらはオスマントルコ側からヴラド3世の脅威を描いた歴史ロマン。
立ち位置が逆になると、こんなに見方が変わる~!?と言いたくなるくらい変わってます(笑)♪♪
とにかくヴラド3世の悪魔っぷりはいいですね♪
まあ……史実からはこの作品もだいぶ逸脱してますね(笑)♪♪
VLAD ブラド
ヴラド3世が現代に魔物となって暴れるって話で……
まあZ級映画なのであまりおすすめは……ねえっっ。
こんな感じ♪
Vlad Ţepeş
日本未公開の作品ですと、1979年にルーマニアで製作された歴史ロマン『Vlad Ţepeş』があります。この作品、YouTubeのルーマニアの作品を合法的に扱うチャンネルCINEPUBにて全編公開されており、自動翻訳ですが日本語字幕でも鑑賞可能となっていますので、よかったらご覧くださいませ♪
冒頭から大自然がすごくって♪
個人的な感想

だいぶ話がそれましたが、『ヴラド・ドラクラ』をすべて読み終えた感想です♪
素直に面白かったです♪♪
最終巻はどうなるんだろう?あ~!こう来るのか~~~~~~っっ!!と、ヴラド3世の最期を分かっている自分だからこそ、最期は唸りましたねえ~~~~♪♪
ちゃんと容赦なく描くあたり、ホントに好きです♪素晴らしいと思います♪♪
これ、上記にも書きましたが歴史考証を合わせるだけでもかなりな作業だったと思いますし、その上、実際にいた人物のキャラクター像の構築、謎とされている部分などの構築など、めっちゃ大変な作品だと思うんですよねっっ。
そしてこの作品は原作者がいないので、作者の大窪晶与さんが基本的な骨組みは作られたと思うんですっっ。担当さんやブレインの方の協力もあったとは思うのですが、それでもこれだけの作品を描き上げたのはスゴいですわ~~っっ!!
まあ、初めて存在を知った時にはすでに4巻くらいまで販売されていて、そこまでは一気に買って読んで、その後は単行本が発売される度に購入しておりました♪
で、今回1巻から読み返したんですけど、正直、1巻はワラキア広告の現状などを理解しないと理解しきれない部分が当然ありますので、この1巻をゆっくり丁寧に読まないと先に行きづらいというのは感じました。でもこういう作品の「常」だとは思いますっっ。
でも2巻以降は世界観も理解しているのでめっちゃ楽しく一気に読めてしまいました♪
最初の奥さんの解釈(というか設定)も素晴らしいと思いますし、オスマン帝国の王(スルタン)メフメト2世との関係も面白いですし、弟ラドゥの描かれ方も好きですわ~♪
また「トゥルゴヴィシュテの夜襲」のくだりはかなり読み応えがあります♪♪
こんな感じで楽しく最後まで読めてしまうのですが、欲を書くと「もっと読みたかった~~」です(笑)。
途中……というかオスマン帝国とのくだりとか~……充分描いてあるんですけど、もっと読みたかった~~~~っっ!!
そういう贅沢な気分にさせられる作品ですし、最終巻を読み終わってからは、しばらく浸ってしまったですわっっ。
『ドラキュラ』の元ネタという入口以上に歴史マンガとしてとても面白く、読みやすいのでとってもおすすめの作品です♪
という訳で今回は『ヴラド・ドラクラ』に関するいろいろを書いてみました♪
んじゃまた~♪


